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選手追跡の技術がランニングへ、AIが走りの質を見える化する

選手追跡の技術がランニングへ、AIが走りの質を見える化する

ニュースの概要

韓国のスポーツテック企業Fitogetherが、サッカー向けに育ててきた選手追跡の仕組みとAI分析を、ランニング分野へ広げている。この仕組みはEPTS(=電子的な選手追跡システム)と呼ばれ、身につけた機器で移動距離、速度、運動の強さなどを記録する。同社は韓国のサッカークラブや育成年代にデータ分析を提供してきた実績を持つ。ランニング向けでは、走った距離やタイムを表示するだけで終わらない。区間ごとの走りのフォームや体の使い方の変化までAIで読み解き、改善の手がかりとして返す方針だ。プロの現場で使われた分析を、一般の走る人にも届ける試みといえる。

引用元: 韓国スポーツテック企業、AIで選手追跡データをランニング分野へ拡張(SPOTV News)

分析・見解

サッカーで磨いた分析が、走る人の手元に届く

Fitogetherの動きは、プロ向けの技術が一般向けに降りてくる典型的な流れだ。サッカーでは、一試合で一人が10キロ以上走る。その中で全力で走った回数や、急に止まった回数まで細かく記録される。この記録は、けがを防ぐ負荷管理や、選手の出場時間の調整に使われてきた。

同じ考え方はランニングにも当てはまる。ただし市民ランナーに求められるのは、監督に提出する資料ではない。次の練習で何を変えればよいかという、短くて具体的な助言である。

距離とタイムだけでは見えない走りの質

既存のランニング用の時計やアプリは、距離、ペース、心拍数の表示が中心だった。これらは結果を示す数字であり、なぜ後半に失速したのかは教えてくれない。

今回のサービスが狙うのは、その原因の部分である。たとえば、10キロのうち7キロ地点から歩幅が縮み、接地時間が長くなった、といった変化を区間ごとに示せれば、疲れの出方が目で見える。タイムが同じ二人のランナーでも、前半に飛ばして後半に崩れる人と、一定の調子で走り切る人では、練習の組み立てが全く違ってくる。

私が面白いと考えるのは、データの量ではなく粒度の違いだ。平均値ではなく、時間の流れに沿った変化を見ることで、人間のコーチが経験で感じ取っていたものに近づける。

精度と信頼がサービスの成否を分ける

課題も大きい。腕や手首に着ける機器は、体の揺れやフォームの細かな変化を正確に拾いにくい。胸や腰、足元に付けるセンサーの方が精度は上がるが、毎回の装着は手間になる。

もう一つはAIの助言の信頼性だ。誤った指摘で走り方を変えて故障すれば、利用者は離れる。サッカーでは専門のスタッフがデータを解釈して選手に伝える。ランニングではその橋渡しをAIが担うため、説明の分かりやすさと、確信が持てないときに断定しない設計が欠かせない。

競合は時計メーカーと、データを握る基盤企業

ランニング市場にはGarminやCOROS、Apple、Stravaなど強い企業がすでにいる。これらは利用者の数と蓄積されたデータで優位に立つ。Fitogetherが勝負できる場所は、専門競技で鍛えた分析の深さと、クラブや学校との接点だろう。

部活動、地域のランニングクラブ、マラソン大会のような集団単位で導入する形なら、個人向けの競争を避けつつ実績を積める。スポーツのデータ活用は、今後、個人の記録から集団の育成へと軸足を移すとみている。

ビジネスへの影響

スポーツ関連事業者が試せる三つの入り口

この動きは、韓国の一社の話にとどまらない。スポーツ用品メーカー、フィットネス事業者、自治体の健康事業など、走る人を顧客に持つ組織には、データの使い方を見直す機会になる。

最初の一歩は、新しい機器の開発ではなく、すでに集まっている記録の見直しである。大会の計測記録や会員の練習ログを、区間ごとの変化として整理するだけでも、新たな価値が生まれる。次に、走る人の悩みを聞き取り、助言の型を三つ程度に絞って試す。最後に、導入先として学校や企業の健康づくりを選ぶと、個人向けより契約が安定しやすい。

導入前に確認したい費用と個人情報の扱い

身体の動きや位置の記録は、健康に近い情報であり、扱いには注意がいる。利用目的を明確に示し、同意を取り、保存期間を決めておくことが前提になる。海外のサービスを使う場合は、データの保管先の国も確認したい。

費用面では、機器代よりも運用の手間が重くなりやすい。装着の習慣が続かなければ、データは貯まらない。導入前に二か月程度の小さな試行を行い、継続率と利用者の満足度を見て拡大を判断するのが現実的だ。成果の指標は、タイムの短縮だけでなく、故障による休みの日数の減少も入れるとよい。

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