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ライセンスはMBAになり得るか。本田圭佑氏の発言で考えるスポーツ界の経営人材育成

ライセンスはMBAになり得るか。本田圭佑氏の発言で考えるスポーツ界の経営人材育成

ニュースの概要

宮本恒靖・日本サッカー協会会長らが登壇したスポーツビジネスサミットで、実業家でもある本田圭佑氏が「ライセンスはMBAのようなもの」という趣旨の発言をしたと伝えられた。サッカー界では、指導者や経営に関わる人材に資格を求める流れが強まっている。その資格を単なる許可証ではなく、学びと実務への入口として捉え直す視点が示された形だ。会場では競技団体、クラブ、企業の関係者が、競技の価値を事業の成長へどうつなげるかを議論したとされる。本稿では発言の細部ではなく、そこから見えてくる人材育成の論点を整理する。

引用元: 宮本恒靖会長ら登壇のスポーツビジネスサミット…本田圭佑社長「ライセンスはMBAのようなもの」(北川信行) - エキスパート(Yahoo!ニュース)

分析・見解

資格を「許可証」から「学びの場」へ読み替える発想

MBA(=経営学修士)の価値は、知識そのものよりも、共通の言葉と仲間を得られる点にある。本田氏の例えは、ライセンスにも同じ役割があると言いたいのだろう。資格を取ることが目的ではない。講義や課題、仲間との議論を通じて、現場の経験を言葉に直す。この過程にこそ価値があるという見立てである。

サッカーの指導者ライセンスは、もともと指導の質を一定に保つ仕組みだった。しかし近年は、チーム運営や育成、地域との関係づくりまで学ぶ場になりつつある。今回の発言は、その変化をビジネスの人にも分かる言葉で表したものと読める。

競技団体が人材の「共通言語」を整える意味

日本サッカー協会は、指導者資格を段階的に整えてきた長い実績がある。会長が登壇する場でこの話題が出たことは、資格制度を協会内の仕事にとどめず、事業の側と結びつける段階に入った表れだ。

一方、経営側の人材には、これに近い共通の道筋が薄い。クラブの社長や強化担当は、親会社からの出向や元選手の転身など、入り口がばらばらである。Jリーグにはクラブライセンス制度があり、財務や施設の基準を満たさなければ参加できない。ただしこれはクラブへの審査であり、個人の力を磨く仕組みではない。組織を審査する制度と、人を育てる制度の間に空白がある。

資格が万能ではない理由と、実務で効く条件

MBAを持つ経営者が失敗する例は多い。ライセンスも同じで、学んだ内容を試す機会がなければ形だけで終わる。

効く条件は三つあると考える。第一に、学ぶ内容が現場の課題とつながっていること。第二に、修了後に任される仕事があること。第三に、失敗を許す余地があること。欧州のクラブでは、元選手がアカデミー部門で数年経験を積み、段階的に強化部門へ進む例がある。資格は階段の一段であって、一気に上へ運ぶ昇降機ではない。

起業家の視点が資格論に加わる意味

本田氏は選手としても、投資家や経営者としても複数の立場を経験してきた。資格を「知識の保証」ではなく「人脈と試行の場」と見る点は、現役時代から外に学びを求めてきた姿勢と重なる。

今後は、指導者資格と経営人材の育成が近づくだろう。選手のセカンドキャリアの受け皿としても有効だ。ただし、資格を乱立させると価値が薄まる。基準を透明にし、修了者の実績を公開できるかが鍵になる。

ビジネスへの影響

研修費だけで判断せず、修了後の持ち場まで設計する

社員を外部の資格講座へ送る場合、受講料だけで費用対効果を測るのは危うい。大切なのは、修了後にどの仕事を任せるかを先に決めておくことだ。たとえば、クラブ運営会社なら、ファン拡大の企画やスポンサー営業の一部を修了者に任せる。学んだ内容を三か月以内に使う場があるだけで、定着率は大きく変わる。

採用と評価では「資格」より「使った実績」を見る

資格は、共通の言葉を持つ人かどうかを見分ける目安にはなる。しかし採用や昇進の決め手にすると、形式だけの人材が増える。面接では、学んだ内容を現場でどう試し、何を変えたかを聞くとよい。元選手や指導者を経営側へ迎える場合は、数字の読み方や契約の基礎を補う学びを併せて用意したい。競技の経験と事業の知識は別物だからである。

小さく始めるための三つの行動

一つ目は、自社の人材の入り口と育ち方を一枚の図にして、空白を探すこと。二つ目は、競技団体や大学の講座を一つ選び、一人から試験的に参加させること。三つ目は、修了者が社内で学びを共有する場を月一回つくることだ。大きな制度を待たずに、まず一人分の学びを事業へつなぐ。その積み重ねが、資格を本当に価値あるものにする近道である。

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