ニュースの概要
専門学校のサイトが、eスポーツに関わる仕事を8種類に整理して紹介している。プロ選手だけでなく、大会の運営スタッフ、実況や解説、配信の技術者、チームのマネージャーやコーチ、データを読むアナリスト、ゲームの開発者、広報やマーケティング担当まで、職種の幅は想像以上に広い。さらに高校生に向けて、専門学校や大学、ゲーム関連の学科など、卒業後につながる進路の選び方も示している。選手の現役期間が短いことも踏まえ、引退後を見据えた職種選びの視点も添えられている。「遊び」と「仕事」の境目が薄れつつあることを示す一例といえる。
引用元: eスポーツの仕事8選!職業の種類や高校生が目指せる進路を解説(www.siu.ac.jp)
分析・見解
選手は氷山の一角で、仕事の大半は裏方にある
eスポーツと聞くと、画面の前で戦うプロ選手を思い浮かべる人が多い。しかし大会がひとつ成り立つには、その何倍もの人が動いている。会場の設営、回線や機材の管理、試合を映す配信の演出、実況と解説、ルールを見張るジャッジ(=審判役)、スポンサー営業などである。サッカーでも、ピッチに立つ選手は組織全体のごく一部にすぎない。eスポーツも同じ構造に近づいている。
違いは、デジタルの仕事が多いことだ。配信の画質を保つ技術者や、試合データを読み解くアナリスト(=分析担当)は、従来のスポーツ現場にはほとんどなかった職種である。ここに新しい雇用の余地がある。
現役の短さが、職種の多様化を後押しする
プロ選手のピークは、反応の速さが問われるタイトルほど早く訪れる。20代半ばで第一線を退く例も目立つ。選手だけを目標にすると、キャリアが短く終わりやすいということだ。そこで元選手がコーチや解説者、配信者に転じる流れが定着してきた。実況で人気を得た元選手が、自分の配信チャンネルを持つ例も珍しくない。
高校生に多様な職種を見せる意味は、ここにある。入口を「選手になるか、諦めるか」の二択にしない。出口を最初から複数知っていれば、挑戦のリスクは下がる。
学校が教育に乗り出す理由は、人材の不足にある
専門学校や大学が学科やコースを設けるのは、需要があるからだけではない。現場では、ゲームを理解したうえで、イベント運営や映像制作もこなせる人材が足りない。ゲームに詳しい人は多い。だが、予算を管理し、権利関係を整理し、スポンサーに説明できる人は少ない。この「ゲームの知識と実務力の掛け合わせ」が、これから最も価値の上がるスキルになる。
海外では、韓国や北米で高校や大学の部活動としてeスポーツが広がり、奨学金を出す大学もある。日本はその後を追う形だが、地域の教育機関が早く動いている点は強みになりうる。
見落とされがちな共通点は「観る人を飽きさせない力」
8つの職種を並べて眺めると、ひとつの共通点が見える。実況も、配信の演出も、マーケティングも、目的は試合の面白さを観る人に届けることだ。技術の違いより、観客の気持ちを想像できるかどうかが、採用や評価で差になる。
高校生は、自分が観客として何に興奮したのかを、言葉にする練習から始めるとよい。これは野球やサッカーのファンビジネスにも通じる考え方である。ゲームの腕前が平凡でも、観る人の心を動かす仕事で活躍できる余地は十分にある。
ビジネスへの影響
採用基準を「ゲーム好き」だけにしない
eスポーツに参入する企業が最初につまずくのは、人選である。ゲームが好きな社員を担当にすれば安心、という発想は危うい。必要なのは、イベント運営、契約、広報、数字の管理といった基本業務の経験だ。ゲームへの理解は後から補えるが、段取りと説明の力は短期間では身につかない。外部の専門学校や大学と組み、実習生やインターンを受け入れれば、採用前に相性を確かめられる。
小さな現場を提供して、人材と一緒に育つ
自社で大規模な大会を開く必要はない。地域のイベントで、実況つきの観戦会を一回開くだけでも、配信、司会、機材手配の経験が積める。学生に役割を任せ、成果物を残してもらう。そうすれば企業は広報素材を得て、学生は実績を得る。両者に利益が出る形になる。
担当者が今週できる三つの行動
第一に、自社の業務のうち、eスポーツと重なるものを書き出す。広報、映像、営業など、意外に多いはずだ。第二に、近隣の教育機関に連絡し、授業や実習との接点を探る。第三に、小さな予算で試験開催し、来場者数だけでなく、参加者の声やSNSでの広がりを記録する。数字が小さくても、記録があれば次の予算を説得する材料になる。ただし、未成年が関わる場合は、保護者の同意や安全面のルールを先に整えておくこと。