未来のファンを掴め!"タイパ"重視のZ世代にスポーツの熱狂を届けるには?
未来のファンを掴め!"タイパ"重視のZ世代にスポーツの熱狂を届けるには?
僕らのサイト「SPORTS BUSINESS HUB」では、テクノロジーを駆使してスポーツビジネスの可能性をもっと広げていこう、という話をいつもしていますよね。ファンはもちろん、チームや地域、スポンサーといった関わる人みんながハッピーになる未来を目指してるんです。その中でも、僕が個人的にすごく大切だなと思っているのが、「未来」への視点。つまり、10年後、20年後にスタジアムを埋め尽くしてくれるであろう、今の若い世代にどうアプローチしていくか、というテーマです。今の盛り上がりももちろん大事なんですけど、この先の未来を創っていくためには、今のうちから種をまいておく必要があるんじゃないかなって、強く思うんですよね。
最近よく耳にする「タイパ(タイムパフォーマンス)」って言葉、ありますよね。Z世代と呼ばれるデジタルネイティブな彼らは、時間を無駄にすることを極端に嫌う傾向があると言われています。映画を倍速で観たり、YouTubeも面白いところだけを切り抜いた動画で済ませたり。そんな彼らにとって、90分や3時間といった試合時間をフルで観戦するっていうのは、正直、かなりハードルが高いことなのかもしれません。僕たちの世代が当たり前だと思ってきた「じっくり試合を観て楽しむ」という文化が、もしかしたら通用しなくなりつつあるのかも…。じゃあ、スポーツ観戦はもう時代遅れなのか?って言われたら、僕は「そんなこと絶対にない!」って断言したいです。問題はスポーツそのものじゃなくて、その「見せ方」や「届け方」にあるんじゃないでしょうか。
この点で、すごく参考になるのが海外の事例、特にNBA(米プロバスケットボール)の戦略です。彼らはTikTokやInstagramといったショート動画プラットフォームをめちゃくちゃ上手く活用しています。スーパープレーの切り抜き動画はもちろん、選手のコート外での素顔、ファッション、ファンとの交流シーンなどを、毎日ものすごい量で発信し続けているんです。これって、単なる試合のダイジェストじゃないんですよね。短い動画をフックにして、選手一人ひとりの「キャラクター」や「物語」に興味を持たせる仕掛けなんです。まず「この選手、面白いな」「このダンク、ヤバい!」と思わせて、そこからファンになってもらう。まさに、タイパを重視するZ世代に最適化されたアプローチだと思います。博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の調査でも、10代はテレビよりもスマートフォンでの動画視聴時間が長いというデータが出ていますし、彼らがいる場所に、彼らが好むフォーマットでコンテンツを届けるのは、もう必須の戦略ですよね。
(出典:メディア環境研究所「メディア定点調査2023」時系列推移)
じゃあ、これを日本のスポーツでやるならどうするか。もちろん、Jリーグやプロ野球でもTikTokに力を入れているチームは増えてきています。選手がダンスを踊ったり、ファンからの質問に答えたりする企画はすごく良い試みですよね。それに加えて、もっと「ゲーム感覚」を取り入れるのも面白いんじゃないかなって思います。例えば、試合の展開をリアルタイムで予想するスマホアプリを公式で用意したり、スタジアム来場やグッズ購入でデジタルバッジがもらえるようなゲーミフィケーション要素を導入したり。要は、90分間ずっと座って観ているだけじゃなくて、観戦しながらスマホで参加できる「何か」を用意するんです。短いコンテンツで興味の入口を作り、ゲーム性でエンゲージメントを深め、最終的には「やっぱりライブで観たい!」とスタジアムに足を運んでもらう。この一連の「導線設計」こそが、これからのスポーツビジネスには不可欠なんじゃないかな、と僕は考えています。未来のファンを育てることは、スポーツ文化そのものを未来に繋いでいくこと。テクノロジーの力で、もっとワクワクするスポーツ体験を、僕もこの場所から一緒にデザインしていきたいです。